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2.事件簿-やまもとの日記より
- てんちょの弁当グチャグチャ疑惑事件 2000年3月16日 てんちょが隠れて弁当を食べていた。『何でこそこそ食べてるの?』とよしこさんが聞いたら、『いや、べつに...』と答えていたが、どう見ても何かを警戒していたのは明らかだ。...半分ほど食べたところで佐川急便が来たので、てんちょは弁当を残して佐川のヒトと話し込んでいた。その間、僅か3分ほどだったと思う。てんちょの弁当が何者かに食べられてしまったのだ。むざんに食い荒らされた弁当容器を持つてんちょの片手は、怒りのため小刻みに震えていた。どうやら後の楽しみに残しておいた鳥のからあげと焼き鮭だけが狙われ、ごはんと梅干しとおしんこには手を付けていなかったようだ。そのため、どうせお客さんは来ないだろうということでお店を閉め、犯人さがしの臨時スタッフ会議がはじまった。『皆さんを疑うのはとてもつらいのですが、皆さんの中にぼくの弁当を無断で食べたヒトがいます。いいですか、みなさん、ぼくは怒っていない。...ただ、正直に、食べたなら食べたと言って下さい。決して叱ったりしません。』てんちょは妙に優しい口調でそう言いながら七味さんをちらりと視た。ぼくとよしこさんも彼女の方を見た。七味さんは右手でひっきりなしに、耳から目にかけて擦り続けていた。...てんちょはきっと七味さんを疑っている。...七味さんは今度は左足で左後頭部を掻いている。『わかった。そうだね、なかなか言えないよね。こういうことは。わかりました...。全員目を閉じて下さい。...いいですか?...ぼくは、全然怒っちゃいません。給料少ないし、お腹空いてたんだな、しょうがないなって思って許しちゃいます。ですから、正直になってください。...ぼくのお弁当、...鳥の空揚げと焼き鮭、食べてしまったのは、誰かな?』沈黙が続いた。やっぱりてんちょは七味さんを疑ってるんだ。すごく悲しい...。その時『ぼくですっ!ぼくが食べました。すいませんでした!』ぼくの口から何故か突然そんな台詞が飛び出てしまった。『そうか、やまもと、...おまえだったのか!』『はい、仰せの通りでごじゃります。(なぜかアロエ語をつかってしまった)ぼくが食べました』...目を開けるとぼくはすぐに七味さんの姿をさがした。七味さんはストーブの前で目を閉じたままだった。『ちょっと、こっちに来い』とてんちょに言われて裏に行ったら、150発ほど殴られたり蹴られたりした。許すと言っておきながら、やっぱりやりやがった。身体の痛みを堪えて店に戻ると、七味さんはまだストーブの前で目を閉じていた。というよりスーピーと寝息をたてていた。
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