店番日記(2000年7月〜9月)     スタッフご紹介

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最新の日記 


9月30日(土)

 タロマルとみなちゃんが来た。ふたりとも中2の時からのお客さんで、来年はもう高3になるのである。長くお店をやって、お客さんの成長を見ていると、なんだか不思議だけどうれしい。学校の先生はこんな気分なのだろうか?

 長嶋茂雄のまねをするラビット関根のまねをする田中ユウトが来た。田中ユウトは大滝秀治のまねをするラビット関根のまねもできる。器用な数学専攻の大学生なのだ。将来が楽しみです。


9月29(金)

 昨日はまゆちゃんといとっちが来た。いとっちの家は大農場なのだそうだが、後継ぎがいない。いとっちは古着屋さんをやりたいのだ。そこで、てんちょといとっちは我孫子洋品店と大農場の交換話を進めている。てんちょは『農業を営み、宮沢賢治になるのだ』などとワケのわからないことを言っている。とりあえず新米とシャツを交換するそうだ。...それでいいのか?僕はどうしても納得が出来なかったので、『この店は、てんちょがコツコツひとりで4年も頑張ってきたんじゃないですか?どうして手放すんですか?やっとお客さんも増えてきたのに。それで良いんですか?』とてんちょに言ったら、『これで良いのだ』と一言で片付けやがった。...今日は接客もしないで『楽しい田植え』という初心者向けの本を読みながら田植えの練習をしていた。


9月25日(火)

 石川が新しい虫捕り技術を修得した。おかげで店内に虫はいなくなった。石川はエライ!


9月22日(金)

 七味さんがいなかった2日間、てんちょは仕事を全くしなかった。したがって、やることが山積みとなっている。七味さん失踪事件の顛末はもう少し落ちついたら、てんちょ自らまとめるそうだ。


9月17日(日)

 雨が降ったりカミナリが鳴ったり落ち着かない天気だった。...みんなテレビでオリンピックでも観ているのだろうか?人通りがない。蒸し暑くて外に出たくないだろうし、秋冬物を見る気もしないのかもしれない。ヒマなのでてんちょはマックでマージャンをしたり、ムラ春なんか読み出したり、サッカーを観たりして、仕事をしていなかった。

 夜、七味さんが***をくわえて帰ってきた。***は激しく+++していた。てんちょは七味さんのしっぽを掴んで後ろに引き摺り、***を助けようとしたのだが、野生化している七味さんを止めることは出来なかったのである。今夜は+++している***の夢を見るような気がする。できれば///が@@@@している夢を見たいなどと不謹慎なことも考えてしまった。(*ネット管理者の検閲により、不適切な言葉は削除しました)


9月15日(金)

 今日はニューバージョンの石川がいた。感想?...特に無し。


9月13日(水)

 雨が降ったり止んだりで、お客さんが少ない。

 夜、例の会話テクニックを持ったお客さんが来た。(*8月20日の日記参照)しかし、今日の会話はいつもとは違っていた。

お客さん『(元気良く明るい声で)オッハー!(どうみても無理をしているようだ)』

てんちょ『...マジッスか!』

お客さん『....!(ドキッとしたようだ)』

てんちょ『...何かお探しでしょうか?』

お客さん『いや、べつに』

てんちょ『...マジッスか?』

お客さん『...!(無言のまま立ち上がる)』

てんちょ『あれ?どうしたの?』

お客さん『(出口に近付き)また来ます』

てんちょ『マジッスか!』

お客さんは逃げるように走り去った。気難しい。...ふたりの戦いは今後もおそらく続くだろう。


9月12日(火)

 ここ2,3日はとにかく蒸し暑い。梅雨時のような感じだ。もう一度夏が来るような気がする...。2000年だし、そんな年があって良いと思う。

 いつもかわいいチョロさんがお母さんと一緒に買い物に来てくれた。入荷したてのかわいいブラウスとかわいい靴とかわいいカットソーとかわいいブラウス2を買った。親子共に何を着てもかわいいのである。


9月9日(土)

 100着以上のブラウスが入荷した。やっぱり古着の入荷は楽しい。今回はとくにかわいい物が多いのでセレクトが難しいのだ。当然のことながら、スタッフ各々の趣向に差があるために、一点の取捨でもめることもよくある。今回もてんちょと石川は殴り合いのケンカをしながら選別していた。


9月7日(木)

 『銭儲けをするな。仕事をしろ!』叔父さんはよく僕にそう言った。叔父さんはその言葉の意味を説明しなかったけれども、ぼくはぼくなりに解釈して、ぼくの仕事をしてきたつもりだ。...この頃自分の仕事について考える機会が多いのだが、その度に結局、叔父さんの言葉に帰結する。...ちなみにぼくの叔父さんはヒヨコの性別判定師であった。


9月6日(水)

問1 下の物体は何か?(10文字以内)


9月3日(日)

 事件が起きた。...ふくすけのおやじが石川のおっぱいを触ったのだ。ここまでくるとタチが悪すぎる。セクハラで済まされない。犯罪だ。『慰謝料を取ってやる』と、てんちょは興奮していた。


9月2日(土)

 今日、僕は遅刻をした。寝坊したのだ。...しかし、悲しいことに僕の遅刻に誰も気付かなかった。...『やまもと!遅刻だぞ!』と怒る人もいない。...まるで幽霊のようにいつもの天井裏に上がり、いつものポーズをした。...自分の存在価値について考えてしまった。僕の仕事はこのお店にとって重要なのだろうか?僕の技は、なんとかエンジェルにも負けない、日々の弛まぬトレーニングから生まれる。そんな僕の毎日の努力は無駄なのか?...先月見た夢を思い出した。

 夜、いつもかわいいチョロさんが来た。チョロさんの笑顔のおかげでなんだか少し救われた。てんちょとチョロさんはビデオカメラとデジカメでお互いを撮影していた。


9月1日(金)

 我孫子洋品店でも防災訓練を行なうことになった。てんちょは『訓練じゃナンだから、隣の焼き鳥屋を実際に燃やそう!』と言って灯油を裏から持ってきたが、ぼくとよし子さんでなんとか止めさせた。結局、地震が起きて焼き鳥屋から出火したという想定で訓練をしたのだが、七味さんは寝ていたし、石川は遅刻、てんちょは逃げろ逃げろ−と言って外に出たまま戻らなかった。こういうイベントはやっぱり無意味である。...火事になった時、逃げ遅れる心配があるのは、ぼくとよし子さんなのだ。てんちょはぼくたちを助けてくれるのだろうか?


8月31日(木)

 月末ということで機嫌が悪い。そこで、気晴らしに石川の鼻に洗濯バサミをつけてみたそうだ。結果、『思った通り赤くなった』と満足そうであった。


8月28日(月)

 隣のふくすけが石川の肩を揉みに来て『ファミマの近くのでかい家、知ってるか?』と石川にきいた。『あー、はい、あの、知ってます。あのハゲのおじさんの家ですよね?』...その時一瞬、店内の空気が凍った。

しかし、実はふたりは仲良しなのである。


8月27日(日)

 今日はトンボとチョウチョを片付けた。


8月26日(土)

*浜松の展示会はいかがでしたか?

てんちょ『山手線は座席が無くなっていたよ。...ありゃ貨物車だな。...久々に乗った新幹線は、自由席でも広くて快適だったよ。...ウチの実家(清水市)を通過する時はなんだか切なかったね。』

*ミリタリーものでしたよね。...いいものありました?

てんちょ『もう、最高、...面白いものいっぱい。とりあえず戦車と地対空ミサイルをオーダーしちゃった。』

*ほんとですか?

てんちょ『うっそぴょーん!』

*......。

てんちょ『ビールとウナギ攻撃を受けて、ワケのわからないうちにいろいろオーダーしたみたいだ。』

*あーやっぱり!...ところで浜松の街はどうでした?

てんちょ『駅から出たらピアノとウナギ』

*はっ?意味がよくわかりませんが...。

てんちょ『モノホンのウナギイヌがいたぞ!』

 以上、てんちょの出張報告である。入荷する商品が楽しみ、というより怖い。


8月24日(木)

 石川はつなぎとヘルメットがよく似合う。しかし、そのニコニコ顔を見ていると、なんだかいじめたくなるみたいで、てんちょが石川を蹴った。石川は鼻血を出して泣いた


8月22日(火)

 3日間続いた『プレゼント』が、今日は無かった。...プレゼント期間終了、ということか?カゴの上の七味さんは背中を向けて寝ていた。

 夕方、てんちょは、お客さんが乗ってきたTWを借りて近所を走り回っていた。『久しぶりにバイク乗ったからドキドキしちゃったよ』と御機嫌であった。

 夜、隣のふくすけのおやじが来た。『あれ!?あのおねえちゃんは帰ったの?』あのおねえちゃんとは石川のことである。『ええ、もう帰りましたよ』『ああ、そう』と言い残し、ふっと消えた。なんだい、それだけかい?石川に何の用だ?またどっかで見かけたのか?

 閉店時間になって、七味さんがドタドタと帰ってきた。口に何かくわえている。それをポロっと口から落とし、ピョンピョン上に跳ねながら右フックを突いている。緑色の生き物、バッタである。てんちょが七味さんの頭を撫でた。七味さんの目は涙でウルウルしていた。スズムシ、トンボ、セミ、バッタ、...そうか、七味さんは感謝の気持ちを表現したかったのだ。...しかし、虫をいただいてもなあ、うーん。


8月21日(月)

 今日は、セミだ。


8月20日(日)

 今度はトンボ。...きのうの鈴虫と全く同じ場所に、赤トンボが置かれていた。こうなると、僕らに見せるために仕込んだとしか思えない。プレゼントのつもりか?...カゴの上で寝ていた七味さんが、一瞬、誇らし気にウィンクしたような気がした。

 夜、たったひとつの言葉だけでコミュニケーションを成り立たせる、みごとな会話テクニックを持ったお客さんが、久しぶりに現れた。(4月25日の日記参照

てんちょ『おお、いらっしゃい。ひさしぶりだね』

お客さん『.....。(なぜか視線を逸らし黙っている)』

てんちょ『Schottのムートンがはいったよ!』

お客さん『ま、まじっスか?』

てんちょ『ほんとほんと。ま、ベストなんだけどさ...(とお客さんの後ろに回り羽織らせて)ほら、どお?いいでしょ?これでキミもマタギになれる!』

お客さん『....。(鏡を見て首を傾げている)』

てんちょ『かっこいい!メッチャクチャかっこいい!』

お客さん『まじっスかあ...』

てんちょ『...16800円です。』

お客さん『まじっスか?』

てんちょ『M-16と実弾200発もあるよ』

お客さん『ええ!まじっスか?!』

てんちょ『うっそぴょーん!』

お客さん『(ムッとして)まじっスか...。』

やはり、延々とこんな会話が続くのだ。そして結局、お客さんはTシャツと長袖シャツを買うことになった。

てんちょ『Tシャツが1900円で長袖ウェスタンシャツが2900円ですので、合わせて5000円ぐらいです。消費税が75%なので、合計で8750円になります』

お客さん『(5000円札を出したまま)まじっスか?』

てんちょ『うそです。(お客さんの手から5000円札をサッと取り)はい、ちょうどいただきます』

お客さん『まーじースかー。』

てんちょ『毎度ありがとうございます!またお願いします』

お客『まじっスか!』


8月19日(土)

 開店前の掃除をしていたら、床に秋の虫が転がっているのを見つけた。この虫は昨晩、きれいな音色で秋を奏でていた虫の仲間だ。しかし、なぜ?どうしてこの小さな生き物が、床のまん中に、まるで見せびらかすように置かれているのだろう。虫は、正に虫の息であった。

 お盆前までは『もうすぐ2億円が手に入る』と騒いでいたてんちょが、この頃は胃の辺りを摩りながら『電気代どうしようかなあ』などとつぶやいている。何があったのかは知らないが、電気が停められたらホームページの更新もできなくなるので、それだけは避けて欲しい。


8月17日(木)

 夕方になって急に涼しくなった。もう秋の気配なのである。新入荷したレザージャケットが売れたり、ジャージや長袖シャツが売れ出して来ると、気分はもう夏の終わり、秋冬の始まりなのだ。去年は確か10月上旬まで異常な暑さであった。『秋物ふっとぶ!』と業界紙の一面に書かれるほどファッション業界に大打撃を与えた。夏からいきなり冬になったため、秋物が全く売れなかったのだ。自然は怖い。今年はそんな異常気象だけは勘弁して欲しい。業界全体のためにも。...とはいっても生態系を乱しているのは人間なんだから、しょうがないのか。人間が勝手に自然現象をビジネスや経済に結び付けてるだけなんだからな...。

 夜にはうざいほど鈴虫が鳴いていた。七味さんも秋の虫たちを追いかけて、秋の気配を感じているようなのであった。


8月14日(月)

 ここ2、3日、同じ夢をみている。...店の中で催涙弾が炸裂し、武装集団が飛び込んでくる。そして彼等はぼくを天井から引き摺り降ろし、待機していたワゴン車にむりやり押し込み、急発進する。ボスらしき覆面の男(覆面のおでこには[R]と刺繍されている)が僕に言う。『キミはあんな小さな店に居てはいけない。...われわれが運営する巨大なセレクトショップで働くべきなのだ』ひきぬき?別の男がこういう。『キミの才能を活かすのだ。、われわれの店の天井は空調も完備していて快適だ。仕事の内容は今と同じで、給料は今の20倍に上がるんだぞ!』20倍ということは、17円×20=340円か。時給\340? 夢のようだ。『どうだ、われわれの店で働く気になったか?』『でも、僕にはてんちょを裏切れない。』『これは裏切りではない。業界ではよくあることだ。労働者の当然の権利なのだ。』『しかし...』...大きな橋の手前で僕は蹴落とされる。『いいか、良く考えろ!自分のためだ!』そう言い残して彼等は去る。これは夢なのだ。しかし、過去の事件(6/10の日記参照)と関係があるような気がしてならない。自分のこの夢を分析するのは怖いので、あまり考えないことにしよう。明日は休みだし、今夜は眠らないことにする。


8月13日(日)

 台風が来たおかげで今日は涼しい。七味さんも外の土が濡れているためか外に出ようとしない。

 夕方、ゴリパーが1年振りに来た。秋田へ帰る直前にわざわざ寄ってくれたのだ。『遠距離恋愛中のカップルの相談にはオレがのってやる。』とえらそうに言っていた。あやぽんの写真を一枚置いて行った。


8月10日(木)

 温泉のあるところでキャンプがしたい。露天で真夜中に星を見ながら、のんびり手足をのばしたい。北海道にはそんな場所が無数にあるそうだ。てんちょは昔よくバイクに乗って北海道をひとり旅したそうで、夏になると懐かしそうにその思い出を話す。うーん、やっぱり、男はバイクだよな、それも独りで。タンデムやツーリング、ゾクはカッコワルイなあ。


8月9日(水)

 夜、カミナリが鳴り出したら、七味さんは試着室の鏡の裏に隠れ、息を殺してじっとしていた。そのしぐさがあまりにも可愛かったので胸がきゅんっとしてしまった。


8月8日(火)

 今日はフジテレビの日なのである。そんなことはどうでも良い。石川がアメリカ古着の買い付けに行ったので、静かな1日なのであった。

 夜、となりのアイツが来た。『ふー、今日は暇だな。』から始まって『こずえちゃん、えみちゃん、ちょろちゃん、いずみちゃん、なおきくん、つかさ、大山ミートのおやじ、ぽっぽ、伏見さん、てっくん、...』と、ぼくの知ってる人知らない人の話題を一通りしゃべって、ふっと消えた。30分。


8月6日(日)

 七味さんがお客さんに足を踏まれた。ギャーと叫んで外へ逃げた。踏んだお客さんもさぞかしビックリしただろう。よく床にぺったり寝転んでいるので、いつか誰かが踏むのではないかとと不安に思っていたのだ...。そう言えば前回の事故からちょうど1ヶ月なのである。毎月6日は要注意!なのだ。

 踏まれた足はたいしたことなく、10分後には、裏の柿の木に登り蝉を追い、畑を掘って遊んでいた。


8月5日(土)

 今夜は花火大会があった。石川はゆかた姿で仕事をしていた。毎年のことではあるが、花火が上がり始めるとお客さんは全く来ないのだ。となりの焼き鳥屋のおやじは、『どうせ客なんか来ねえからよ、8時まで店閉めて見に行くんだよ』と嬉しそうに話していた。...花火の音が怖かったのか、七味さんはいつもの場所で寝ていた。しかし、大きな音が鳴る度に、耳をピコピコ振っていた。

 生活指導室のなおち先生が買い物に来てくれた。


8月4日(金)

 午後は全然お客さんも来ないし、人通りもない。近所の配線工事も終わり、静かで平和な暑い1日なのである。 

 七味さんの足の怪我も本当に良くなり、傷痕から白い毛が生えてきた。前髪を切り過ぎたと言って泣いていた石川の頭も、ある程度回復したようだ。

 夜になってもお客さんが来ない。てんちょは七味さんとレーザービームで遊んでいた。


8月2日(水)

 なんだかワケのわからない内に8月になってしまった。今年はまだ夏を堪能していない。すいか、花火、キャンプ、食中毒...。天井裏で、甘く懐かしい夏をつい夢想してしまう。

 石川は秋冬レディスの展示会に出かけた。セレクト商品が楽しみだ。


7月29日(土)

 裏庭で、てんちょは染めやペイント、七味さんはカマキリと格闘したり、スズメを威嚇したりしていた。暑いけど風が気持ちいいそうだ。お客さんは全然来なかったが、まあいいか。


7月28日(金)

 やまもと『IFFはいかがでしたか?』

 てんちょ『いやあ、久々に電車乗ったから緊張しちゃって、女の子にチカンされちゃったよ』

 やまもと『なにか面白いブランドとかありました?』

 てんちょ『タコやき屋とか金魚すくいとかやってなかったぞ!楽しみにしてたのに...』

 やまもと『どこ行ったんですか?』

 てんちょはIFFについてはあまり語らない。本当にビックサイトまで行ったのだろうか?


7月26日(水)

 雨が降り、湿度が高く、涼しい。今日は七味さんが昼間から元気だった。しかし、夜になってまた『白黒』にいじめられ、目の上を血だらけにして帰ってきた。かわいそうに、弱いものいじめのターゲットになっているのだ。こんなことが続くともうどうにもやりきれない。

 明日、てんちょは国際的な展示会に行くそうだ。


7月25日(火)

 石川がかっこいいお客さんに恋をしたらしい。


7月22日(土)

 本格的な夏という感じになってきた。暑い。真冬にはアレほど思い焦がれた季節なのに、今はもうウンザリなのである。営業中の僕の下半身と手は冷房中の店内、上半身は蒸し暑い天井裏にある。与えられた仕事に文句を言うつもりはもちろん無い。ただ、やまもとの仕事もタイヘンなんだとわかって欲しい。

 きょうは、てんちょの誕生日なので、これからぼくはてんちょと飲みに行くのだ。言いたいことは言ってやろうと思っている。


7月21日(金)

 石川はときどき大口を開けたままボーとしている。なぜ?と聞いたら『ときどき口を閉じるのをわすれちゃうんです』と答えた。


7月20日(木)

 今日は海の日という国民の祝日なのである。そういえばもう何年も海を見ていない。最後に海を見た記憶さえ曖昧だ。海水浴、海の家、白い砂浜、...最後の海は茅ヶ崎あたりだっただろうか?あまりいい思い出が無い。てんちょはよくメキシコやカリフォルニアの海のことを得意げにしゃべる。悔しいので『ふーん、そうなの...』と興味のないふりをしているが、実は羨ましくてしょうが無いのである。


7月19日(水)

 きのうは休みだったのだが、何の予定も無かったので結局洋品店に行ってしまった。洋品店の裏の作業所で、てんちょが独り黙々と染色をしていた。七味さんは外で捕らえたトカゲさんを店内に持ち込みいたぶっていた。僕も何かしようと仕事をさがしたが、僕にできる仕事がない事に気付き、やっぱりいつもの場所でいつものポーズをとっていた。...同じようなことが前にもあったような気がする。(*2月1日の日記参照) 

 石川がもうひとつアルバイトを見つけた。どっきりヤンキーというハンバーグ屋さんだ。他でバイトをして洋品店で服を買うのだそうだ。なんとなく悔しい。先を越されたような気がするのだ。...ぼくもバイトを見つけなければ。なんでもいい。給料がもらえるなら。


7月17日(月)

 この頃、石川がたるんでいるので、気合いを入れてやった。3発殴っただけなのに鼻血を出していた。ほんとにだらしないヤツだ。

 水面下でR大作戦が実行されているらしいのだが、ジャッカルからの連絡が途絶えたのと、肝心のRが国外逃亡を図っているため、計画はしばらく延期となるそうだ。関係者の皆さん、よろしく。

 昼間は暑くてだらだら寝ている七味さんが、日が暮れると急に元気になる。もともと夜行性らしいのでしょうがないのだが、怪我も完治してないし、夜遊びはほどほどにして欲しい。とても心配なのだ。

 いつもかわいいチョロさんが、桃とチーカマを持ってきてくれた。何故、桃とチーカマなのか?チョロさんのことだから何か意味があるのだろう。考えなくては。


7月16日(日)

 開店直後、5,6人の態度の悪い客が来たためにてんちょの機嫌が悪い。近所のライブスペースのミ出演ミュージシャンらいしいが、宣伝してるライブスペースなので怒りを抑えたらしい。有名ミュージシャンだろうが大政治家だろうが、我孫子洋品店では社会的地位や職業に関係なく態度の悪い客は殴ることになっている。


7月15日(土)

 何かショックなことがあったのか、七味さんの元気が無い。怪我の方はかなり回復しているのに、食欲がない上に寝てばかりいる。すごく心配だ。

 土曜日のため、店の前の交通量は少ない。しかし時々ばかヤンキーのばか車がすごい勢いでとばしてたり、となりの焼き鳥屋に車で飲みに来るばかおやじが良い気持ちになってバカでかい車をふかして帰って行く。この通りの先にはこども病院もあるのだから、速度規制を強化するべきなのだ。(もちろん、何よりも七味さんのために)


7月13日(木)

 てんちょの機嫌が悪い。朝、七味さんがまた『茶』にいじめられたからである。そのため今日最初のお客さんが『メンズのチェックシャツはありますか?』と聞いた時、てんちょはギロッとお客さんを睨んで眉間にシワを寄せ、たばこをくわえたまま黙っていた。...これでまたひとり顧客を失った。今月は七味さんの事故があったので多くの新規客を無くしているのは言うまでも無い。


7月12日(水)

 『おつかれですな』とてんちょに言ったら『つかれてねえよ!』と突っぱねやがった。そのくせ、お客さんと話してるとき『2槽式の掃除機をゲットした』とか、スタッフの石川さんに『木村さん、そこのスカート出しといて』、佐川急便が来たのに『ヤマトだぞ、はんこはんこ』、などとわけの分らないことばを連発していたのである。


7月11日(火)

 てんちょは、債務を整理するために店の名前を『そごう』にする、と言っている。


7月10日(月)

 モード界ではもう2001年春夏コレクション。洋品店でも秋冬ものの仕込みを考えなければならない。今月はIFFやFrontierがあったり、国内メーカーの展示会があったりする。商品企画を失敗すると大変なことになってしまうので、慎重な判断が必要なのだ。安易に流行に乗ろうとすると、商品の同質化を招き、そのへんの量販店と似たような品揃えに陥り、一気にダサい店になってしまうのである。我孫子洋品店は『ひと味違う古着屋みたいな店』として個性を主張し、他店との差別化を常に考えなければならないのだ。と、初心に返りお店のあり方について考えてみた。てんちょが示す洋品店の2000年秋冬のテーマは『軽やかなセンチメンタリズム』なのだそうだ。わけがわからない。確かに他店の方向とはズれているように思われる。

 きょう来たミュージシャン風のお客さんの腕には『野生児、88、錨マーク』と油性マジックで書かれてあった。...どうみても洋品店にはまり易いタイプなのである。今後が楽しみなのだ。

 七味さんのほう帯が取れ、傷がむきだしになった。痛々しい。夕方、そんな七味さんを、でかい『白黒』と『茶』がふたりがかりでいじめていた。七味さんはすし屋の裏の方へ逃げて行き、戻って来なくなった。めちゃくちゃかわいくて優しいチョロさんが七味さんをさがしてくれた。


7月9日(日)

 七味さんの怪我もだいぶ良くなった。一昨日は全然歩けないような状態だったのに、きょうは階段をぴょんぴょん上ったりしている。驚異的な回復力だ。骨に異常が無くて助かった。しかしまだ完治したわけではないので、ホントは外に出したくなかったのだが、暑い部屋にひとりで閉じ込めておくのも可哀相だったので、本人の意志を尊重し、外出を許可したようなのだ。久しぶりに外に出た七味さんは、スズメを追ったりして自由を満喫していた。てんちょはうるさい車が通る度に外を睨み、接客よりも七味さんの身の危険を案じているのである。

 ひき逃げ犯人の有力な情報を入手した。偶然、事故を目撃した人が、白い車の助手席に顔見知りの近所のアパートの住人が同乗していたのだそうだ。犯人逮捕はもうすぐだ。容疑は動物愛護法違反。懲役1年以内、罰金100万円以内なのだそうだ。


7月7日(金)

 法律上の問題ではなく人間性、道徳、良心とかいった問題なのだ。たとえ過失ではあっても、その場から逃げるという卑劣な行為がゆるせない。『なんだ、小さい生き物か...、車は大丈夫かな?』とでも思っているのだろうか?むかつく。

 てんちょは七味さんと一緒にいたいからと言って2階に閉じこもっていた。石川も休みなのでひさしぶりによし子さんとぼくだけで店番をした。七味さんの治療費と言って募金に協力してくれるお客さんもいて、感動する。

 そうだ、今夜は七夕だった。七味さんの怪我が早く治りますように!


7月6日(木)

 本日午後6時10分、店の前をもうスピードで走る車が七味さんを巻き込み、そのまま逃走した。てんちょが店の外に飛び出すと、白い毛が空中を舞っていた。...ぎくっとした。...ホントに胸が痛かった。てんちょは大急ぎで七味さんを車に乗せ、病院へ運んだ。(詳細は明日また書きます。)


7月3日(月)

 今日は七味の日なのである。


7月1日(土)

 夕方、てんちょは石川に虫取り網をかぶせていじめていた


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