店番日記(2001年1月〜4月)     スタッフご紹介

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最新の日記 


3月28日(水)

 前回の日記で『量的になかなか手に入らない』と云っていたかわいいジャージがたくさん入荷した。100着以上の仕入れは小さな店にとっては危険な賭けではあるが、『adidasやpumaを中心にこれほど良質のジャージが集まることはめったにない』とヨーロッパ古着の担当者の報告もあり、『モノがある時に仕入れておこう』ということになったのだ。春から秋のアウターにも冬のインナーにも使えるジャージなら定番として年中売れるだろう。しかし、仕入れ資金が、....てんちょの体がまた傾きはじめたのは云うまでもない。...


3月19日(月)

 ひさびさにアサケンとエミちゃんが来て、ジャージを買って行った。洋品店ではジャージは4年前からの人気商品なのである。しかし、この頃はかわいいのが量的になかなか手に入らないので洋品店のバイヤーは悩んでいるのだ。


3月18日(日)

 『くつはジョージコックスでパンツはラング、インナーはスミスでアウターはネペンテス、バッグはポーター』...閉店間際に来たお客さんが聞いてもいないのに自分の着ている服のブランドを自慢?した。ときどき来るお客さんなんだけと、うざい。(あ、言ってしまった...)てんちょは『ジョージコックスはスタートレックに出てた人で、ラングはラングラーの略、スミスは昔ジャイアンツにいたレジ−スミス、ネペンテスはペテンです、ポーターは新しい動物』と説明してくれた。


3月16日(金)

 今日はお客さんも多いし、いろいろ入荷があって忙しいのに、石川は温泉に遊びに行っていて月曜日から休んでいるし、てんちょと七味さんは今日も『おさかなごっこ』をして遊んでいる。それじゃいったい誰が、仕事をしたのか?...ぼくもよくわからない。


3月15日(木)

 ファッション業界では2年程前から80年代がキーワードとなっている。もちろんぼくはその頃生まれたばかりなので、よく知らない。ファッション辞典や現代文化史の本を読むことしかできない。ファッション的には50年代から70年代の焼き直しみたいな時代だ。日本ではやはりY'sやギャルソンの活躍が目立つ。(未だにすごいけど) このごろ、ブーツカットやベルボトムパンツを欲しがる男の子が増えてきた。フレアパンツは60年代から70年代半ばまでは流行っていたようだけど、80年代には消えている。90年代が70年代なら90年代にもっとフレアパンツを穿く男の子がいてもよかったはずだ。ある大手セレクトショップのえらい人が『流行のサイクルは20年』と言っていた。どーだかね。なあ、サタンガムのモト松村。ロック、グランジ、パンクだよな。


3月14日(水)

 『あのブラウスかわいくね?(語尾上げ)』『あのスカートもかわいいんだけど...』開店前に掃除をしていたら、外からそんな会話が聞こえてきた。てっきり女子高生かと思ってウィンドウ越しに外を覗いたら、近所の若奥さんたちが4人ほどいる。みんなベビーカーをひいているのだ。厚底サンダルをはいたパツキンの奥さんもいた。『ここの店長さんって年令不詳って感じじゃない?』『そーだよね』『でもカッコよくない?』『うそお、ばかじゃん』『なにイ、むかつく』『ホモだってうわさだよ』『えー、きもーい』『マユのダンナが口説かれたんだって』『あこちゃんのおかあさんとできてるって話もあるよ』『あ、あたし、あの人ズラだってうわさも聞いたよ』『バイトの黄色い眼鏡の女の子に熱湯かけたんでしょ?』『えー幼児虐待じゃん』『あたしだってそこまでやってないよ』『auのアサノタダノブのTシャツがあるんだって』『えー、あたしあの人好き』『まじい、ばっかじゃん』『なにそれ、チョむかつく!』...掃除が終わる頃、彼女達の声は遠離って行った。ま、どーでもいいけどね。


3月11日(日)

 しばらく日記を書いていない。それは忙しかったからでもないし、書くべきことがなかったわけでもない。書かなければならないある事件との決着を避けていたからだ。その事件については後日また書くつもりだ。多くの人に迷惑がかかるので今は書けない。

 石川がてんちょのメイクを拒絶するようになった。『やめろよお!』とマジで怒るようになったのだ。せっかく石川用のメイク道具を買ってきたのに....。『カキの種、鼻の穴にいくつ入るか大会』では『ぶちにはそんなバカなこと出来ないですウ!』と言っててんちょの手からカキの種を払い落とした。『ふうん、石川さんも偉くなったね!』とてんちょはがっくり肩を落として倉庫に引きこもってしまった。...バレンタインのとき、石川が作った「卵焼きのシロップ漬け」を食べさせられ(石川はそれを「プリン」と呼んでいた)、てんちょは『気持ち悪い、吐き気がする』と言って気を失った。...石川がてんちょに対して反抗的な態度をとるようになったのは、その後からではないだろうか。


2月27日(火)

 今日は定休日ではないのだが、てんちょの熱が50度を超え、これじゃとても接客できないということで夕方、お店を閉めた。てんちょは治療費が高いということで医者には絶対に行かない。自分の病気は自分で治療するのだそうだ。さすが、てんちょ。昼間は『悪寒がする〜』と言って、七味さんと抱き合ってぶるぶる震えていた。キ***を売ったのがこたえたそうである。

アメリカから来る荷物の関税が異常に高い。円安の影響なのだろうか?それとも誰かの意地悪なのだろうか?

 我孫子洋品店はお客様から消費税をいただいてない分、普通のお店よりもよけいに消費税を払っている。たくさん税金を払っているので総理の森とか亀井の悪口を言う権利があるんだけど『森のばあか。しんじゃえ!』と言っても日本経済は変わらないだろうし、森が死んでもまた次の頭の悪い政治家が金太郎飴みたいに出てくるんだろうし、あーむかつくよ。...日本は本当に民主主義の国なんですか?なおちせんせ、教えて下さい。

 昨日はいつもかわいいちょろさんが、彼氏を連れてきた


2月26日(月)

 不思議な事件が起きた。何者かが、商品であるカーネルおじさんを床に払い落とした上に噛み付き、店の奥に放り投げたらしいのである。以前にも何度かこんな事件はあった。(泥足店内汚し事件てんちょの弁当グチャグチャ事件)そして今回もまた犯人の意図や目的、動機などが全く見当つかないのである。やっぱり迷宮入りするのだろうか?


2月25日(日)

 きのう、T2という映画をテレビで少し見た。なぜだろう、我孫子を捨てて消えた、AVカントクのリュウさんを思い出した。(逮捕されたという噂もあるが...)


2月24日(土)

 今日は冷たい雨が降っていてお客さんが少ないので、てんちょは石川を相手にまわし蹴りの練習をしていた。閉店間際、君津のなおち先生が買い物に来てくれた。卒業シーズンを迎えて先生はひどく疲れているようにみえた。がんばってください。


2月22日(木)

 今日はネコの日で会社や学校は休みなのである。ポカポカと春のような陽気で七味さんは外で走り回っていた。てんちょは暖かくて湿度が低いために染色や洗濯をしていた。石川がめずらしく1時に来た。『今日は遅刻してないじょー』とエラソーに言っていたので、アゴをぐりぐりしたら、気持ちよさそうにしたので、やめた。春物がもっと欲しいのに手に入らない。良質の古着は値段が高くて量も少ない。...やはりてんちょがアメリカかヨーロッパにいくべきなのだと思う。ニューヨークやロンドンではもう秋冬コレクション。やっぱりミリタリーか。みんな早くコートやダウンジャケットを脱ぎたいけど、3月になったら、冷たい雨の日が続くんだ。夜はお客さんが少ない。たまに入ってくるお客さんは、すぐに出て行く。『コンビニと間違えたんだよ』とてんちょは言うが、ぼくにはそう思えない。とりあえず今月末はどう乗り切るつもりなのか?七味さんと『おさかなごっこ』をしているてんちょを見ているととても不安なのだ。


2月21日(水)

 ススムくんコピー1号が来た。ぼくにはススムくんのコピーとホンモノの違いがわからないのだが、てんちょに言わせると、一目瞭然、なのだそうだ。つまり、コピーの目はウツロで、首には『複製』と刻印されているのだそうだ。夕方、ススム君のホンモノがススム君の妹さんのコピーと一緒に現れた。今度はすぐにコピーとホンモノの違いがわかった。


2月19日(月)

 いつも傾いていたてんちょの体が、今日はまっすぐになっていた。『また何か売ったんですか?』と聞いたら『靴を仕入れるためにまた*ン**を売ったのだ...』と、ついに二つ目を売ってしまったことを悲し気に語っていた。それにしてもてんちょの**タ*が、体を傾かせる程の重さだったとは...。(2000,10/23の日記参照)(*文中の不適切な表現はネット管理者により削除しました)


2月18日(日)

 夜、柏の『solo』という古着屋さんの店長さんが来た。名前のとおりひとりでアメリカに行って、いろいろ仕入れてくるのだそうだ。てんちょは羨ましそうにアメリカの話を聞いていた。そして、『今年は絶対おれも行く』と言い出した。『渡航費はどうするんですか?』ときいたら、『石川がキャバクラで働くそうだから、なんとかなる』と言った。後で石川に『キャバクラで働くんだって?』ときいたら、『てんちょが時給15円の仕事を紹介してくれるっていうの。ぶちはただ座ってればいいんです』ただ座っているだけで時給15円なんて、すごい。ぼくもキャバクラで働きたいと思った。


2月17日(土)

 背の高い男前のジロー君が来た。男前のお客さんがくると石川はミョーにはしゃぎすぎるのである。キャッキャキャッキャと楽しそうに接客をしている石川の後ろから七味さんが飛びかかってバリバリしたのだが石川は気付かなかった。


2月16日(金)

 よく買い物をしてくれるケイオーが来た。ケイオーは店に入るなりパンツ一丁になり、ベルボトムパンツを片っ端から試着していった。寒いから試着室に入りなよ、と勧めても、ウルセーと言ってレディスコーナーの一番寒いところで試着を続けるのであった。


2月15日(木)

 石川があまりにもたるんでいるので、てんちょが制裁をくわえた。『鼻血が出るまで殴っちゃる』と何発も殴ったのだが、石川は一滴の鼻血も見せない。それどころか全く痛みを感じてないかのように平静な顔をしていた。すこしだけボクシングをかじったことが有るというてんちょは自信をなくし、早々と寝てしまった。


2月14日(水)

 今日はバレンタイン。そんなことはもう、どうでもいい。

 突然カウンターの紫色の電話が鳴り(電話が突然鳴るのはあたりまえだが)、と同時にきれいな女の人が店内に飛び込んできて、何も言わず受話器を取った。そして受話器を耳にあてたその瞬間、女の人は粒子が拡散するように消滅した。その直後にピストル持った男が店内に入り、いきなり発砲した。てんちょはとっさに弾丸を除けたが、壁に大きな穴が開いた。男は無表情のまま、スヌーピーのジャボン玉セットを首に掛け、1ドル札をカウンターに置いて、出て行こうとした。『お客さん、足りませんよ』とてんちょは言ったが、既に男は外に出ていた。そして煙のように空に舞い上がった。てんちょも男の後を追い、空を飛んでいった。

 しばらく日記を書けなかったのには理由がある。しかし、この10日間ほどに僕の身に起こった不思議な出来事については誰にも言えないのだ。多くの人に迷惑がかかるからだ。もうすこし落ち着いたらしゃべっちゃうかもしれないが。


2月5日(月)

 懐かしいお客さんがたくさん来てくれたので、今日は良く売れた。まゆちゃんは成人式で知り合った新しい彼氏を連れてきた。美人女子高生のみなちゃんは美人女子高生の友達を連れてきた。


2月3日(土)

 今日は豆まきだった。てんちょは石川に鬼のお面を付けて、マメを撒いた、...というよりは思いきりぶつけていた。石川は、痛い痛いと言いながらもキャッキャキャッキャと楽しんでいた。7miさんも落ちて転がるマメを追いかけて遊んでいた。節分の意味は、この人たちにとってはどうでもいいのだ。


1月21日(日)

 『食事にいこう』といきなりてんちょに誘われた。『そんなお金あるんですか?』『機密費という自然に湧き出てくる金が有るのだ』『どこに行くんですか?』てんちょの軽トラに乗りながらぼくはきいてみた。『バーミヤンという中華料理屋だ』『ぐるぐる回りますか?』『いや、回らない』鮨屋の場合はぐるぐる回らない方が高級なのだが、中華の場合はぐるぐる回る方が高級なのだ。『展示会はいかがでしたか?』プライベートのてんちょはあまりにも無口なので、こっちが質問しない限り口を開かない。『べつに...』『べつにって、何かあったでしょ?』『かっこいい靴があった』『どんな靴ですか?』『ロック...』『ほかには?』『黙って食え!』ぼくたちは沈黙のままご飯とスープのセットを3杯ずつ食べた。おかずは無かった。せめて餃子くらい欲しかった。...てんちょとメシを食っても楽しくない。以上。


1月20日(土)

 夕方から雪が降った。もちろん立地の悪い洋品店にはお客さんが来るわけもなく、売上は厳しいのであった。てんちょは閉店後、一日の売上を確保するために『頭の寒い人たちに売り付けてやる』と売れ残っているニット帽とマフラーを抱え雪の中を駅の方へ向かっていった。『ニット帽いかがですか?頭さむそーですね!』ニコラスケイジに似たオジサンに元気よく声をかけてみた。『いらねーよ!』と言いながら、ニコラスケイジはてんちょを思いきり突き飛ばした。てんちょは雪の上ですべって転び、眼鏡が割れ、腰を打った。それでも立ち上げり、今度はモト冬樹に似たオヤジに声をかけた。『売れ残ったニット帽いかがですか?4,900円です。襟巻きもあります。頭、凍ってますよ』モト冬樹は首を振り、『悪いけど...』と言いながら、てんちょのケツを蹴った。...こんな調子でニット帽もマフラーも全く売れず、とぼとぼと肩を落とし帰っていった。途中の公園で、小さな象やキリン、ライオンなどが7頭、雪に埋もれているのをみつけた。『可哀想に、...寒かろう...』と、てんちょは彼等の雪を払い除け、持っているニット帽とマフラーをみんなに着けてあげようと思い立った。しかし、7番目の猿の分が足りない。...そのため、自分のニット帽とマフラーを着けてあげた。何にも売れなかったけどイイことをしたと、気分よく帰ってきたら、七味さんがてんちょの夜ご飯のカラアゲをすっかり食べてしまっていた。...らしい。


1月14日

 ときどき七味さんは小さなアクビをした後、舌をしまい忘れている。その姿がメチャクチャかわいーので、見ている人すべてがニンマリとして、店内が和むのである。きょう石川が大きなアクビをした後、口を閉じるのを忘れていたため、てんちょがゴミ箱と間違えて紙屑を捨てた。その後店の前を通る人たちが次々と石川の口の中にゴミを投げ込んでいった。...石川は次のアクビまでその事にまったく気がつかなかったようだ。


1月10日

新春特別座談会『2001年ファッションビジネス業界のゆくへ』

司会者『メンズはカスタマイズ、リメーク、ロック、レディースはミリタリー、サファリということなんですが、これはモードからカジュアルにまで広がりそうね、...どうですか?そのへんのところ、...我孫子の石川さん?』

石川『ぶちは、太まゆげがかわいいと思います。』(場内笑)

司会者『ほほう、太まゆげですか?』

石川『あい。それも描くのではなくて貼るんです、海苔を。』(場内どよめく)

大手セレクトのバイヤーM氏『海苔というのは、あの食べる海苔ですか?ははは、ばかな...』

石川『海苔には、カルシウムとかあ、ミネラルとかがたくさん入ってますう。』

司会者『次に、デフレについてなんですが、...今、小規模な小売店のほとんどは、安く無ければ売れないという状況に窮しています。』

ビジネス誌ライターW氏『店頭物価が安くなっているのに家賃や流通コストは安くならない、というのが一つの問題です。また、中国で自社生産できる大手のSPA企業に大手小売りが対抗したために共倒れが心配されます。』

司会者『小さい古着屋さんも立地条件の悪い方からバタバタつぶれていますね。そのへんどーですか、我孫子の石川さん?』

石川『あのお、ぶちには保険がいっぱいかけてあるから大丈夫だって、てんちょが言ってましたあ』(場内ざわめく)

司会者『...さ、短い時間でしたが、今日はこれでお開きということにしましょう。次回は来週、またお会いしましょう!』


1月7日(日)

 今日は本当に寒い一日であった。


1月4日(木)

 iMacの上に七味さんが座っていたら、何人かのお客さんが『これは置き物ですか?』と聞いた。『はい、そうです』とてんちょが答えると、たいていのお客さんは『へえ、リアルですね』と言って七味さんに触った。すると、バチバチッと静電気が起こり、お客さんは『きゃっ!』と小さく驚き、後ろ向きに歩いて店を出ていく。『勝った!』とてんちょと七味さんは満足そうに出ていくお客さんを見送る。きっとふたりは何かに挑戦しているのだ。ぼくには良くわからないけど...。


1月1日(月)

 今日はお店は休みなのだが、棚卸しをしなければならないのであった。しかしてんちょは『あとは君にまかせる』と言って七味さんと双六や福笑いをして遊んでいた。ふたりがキャッキャキャッキャ騒いでいる間にぼくはひとりで棚卸しを終わらせたのだ。...それにしても今どきそんな正月の遊びをするなんて...、明日は朝から書き初めと凧上げをするそうだ。


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