店番日記(2000年10月〜12月)     スタッフご紹介

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最新の日記 


12月31日(日)

 大晦日なのである。

 開店前、音楽を聞きながら掃除をしていた。ジョンレノンが『I don't believe in Jesus』なんて歌っている。...店の外から男の声がぼそぼそと聞こえてきた。『...おい、ジョー、それを言っちゃヤベーだろ』『いやいや、わかってるさハリー。ただおれは、Jの店でブルースをやってる頃のことを思い出しちまったんだよ...、ただそれだけのことなんだ』『...それで何か?俺達は落ちぶれたって...』『...』『また、やりたいか?』『そりゃそうさ、おまえのピアノでおれが歌うんだよ』『昔のようにか...』『ああ昔のように...』店内で『Dream's over』とジョンの歌声が響いた。...ジョーと呼ばれた男が『ハリー、今夜も仕事かい?』と低い声で言った。『まあな。たいした21世紀さ。...なあ、ジョー、これでガキとベティに何か送ってやれよ....』...やがてふたりの声は遠ざかっていった。現実を知らされた裸の王様は幸福であったか?...夢を捨てることは勇気がいる。しかし!21世紀は希望の光でいっぱいだ!だからみんな、洋品店でもっと買い物をしよう!サヨナラ、ニジッセイキ!


12月30日(土)

 引き続き10大ニュース。

4.七味ちゃんワクチン注射いたいよー-始めてのお医者さんでした。

5.七味ちゃん避妊手術-かわいそーだったけど手術しないほーがカワイソーだと判断しました。

以下、6.洋品店のイベントで知り合ったA君とB子さんが知らない内につき合っていた。このふたりが店に来ていちゃついているとなぜかむかつくのでした。これを機に洋品店のイベントがなくなりました。7.洋品店を通して知り合ったC君とD子が知らない内につき合っていた。そして何故か二人とも洋品店に来なくなった。以後、店内での恋愛は禁止になりました。8.石川の罰金が100万円を超えた。度重なる遅刻とてんちょへの暴言でこんな金額になりました。9.仕入れ資金のためについにてんちょが***マを売ってしまった。10.てんちょが70度の高熱を出し、店内で火を噴いたのでお客さんに火傷を負わせた。

 以上、やまもとが選びました。(ほんとはここに書けないことがたくさんありました。)


12月29日(金)

 2000年洋品店の10大ニュース。

1.七味ちゃんひき逃げ事件-未だ犯人挙がらず。思い出す度に胸の痛むとても悔しい事件でした。治療費を募金してくださったみなさん、本当にありがとうございました。 

2.七味ちゃん失踪事件-みんな心配してくれた。一緒に捜してくれたみなさんありがとう。白ネコの遺体があると聞いて、てんちょは手賀沼の方まで走ったなあ。 

3.七味ちゃんいじめられ顔がガッツ石松傷害事件-化膿して顔がぷっくり腫れてほんとにかわいそうでした。全治2週間。

今年も七味さんの話題でいっぱいでしたね。4位以下のニュースは明日また。


12月28日(木)

 仕事納めだ忘年会だと不景気ながらも街はやっぱり浮かれているようだ。洋品店の前の通りも酔っぱらった人々が通り過ぎていく。洋品店内は灯油を買えないてんちょと七味さんが抱き合って餓えと寒さに耐えている。

 ひとりの酔った老人が入ってきた。『どうだ?売れてるか?』『ええ、結構売れてますよ』てんちょは見栄を張った。『時代のせいにするなよ』『なに?』『儲けようと思うな。自分の商売をこつこつ続けるんじゃ!』『うるせーな。じじいっ!てめえ何者だ?』『人はわしを商売の神様と呼ぶ』『ワケわかんねえじじいだな。あんたは松下幸之助か!』...老人は静かに笑っていた。『真の商売とは人々を幸福へ導くものじゃ...』最後にそう言い残し老人はふっと消えた。七味さんはてんちょにしがみついて『んなっ』と言った。...寒くて淋しい夜の出来事...。


12月25日(月)

 『お客友達』が裏切ってプレゼントを他の店で買う。新しいマックがまだ届かない。そのマックのローン支払いがはじまる。石川と七味さんが反抗的態度をとる。思い通りの商品が入手できない。1ヶ月前のセーターを返品しにきた人がいた。『お古なんでしょ?高いわね』とだけ言って帰るおばさんがいる。...そんな事が重なって、てんちょの胃に穴が空いた。革用の糸と針ですぐに修繕したが、またすぐに穴が開くのである。かわいそうに。


12月21日(木)

 この日記をずいぶん書いていない。書くべき出来事はたくさん有るのだが、コンピューターの調子が悪くて、どうにもならない状況なのである。明日ついに3台目のマッキントッシュがやってくる。


12月15日(金)

 今いちばん必要なことは、冷静になることである。21世紀は、きっと懐かしい出来事でいっぱいだ!


12月12日(火)

 年末に3億円が入るそうだ。『おまえの時給も1円アップしてやろう』『えっ!ほんとですか?』『それだけじゃない。プール付きの家を買ってやる』『まじっすか?』『車も買ってやるぞ!どうだ、いいだろ?もっと喜べよ』『ええ、そりゃまあ、嬉しいですけど...、てんちょは何を買うんですか?』『火星だ。ふふ、どうだ?すごいだろ?』...火星よりも、まず新しいアイロンとミシンとマッキントッシュ、そして何よりも新商品を仕入れるべきだとぼくは思うのだ。家と車?もちろん期待などしていない。...


12月9日(土)

 七味さんの額の傷跡が3角形になっていて、それはまるでエレベーターの『上へ』ボタンのように見えるのだ。『これは洋品店が上昇することの象徴である。』と、てんちょは勝手に解釈している。


12月8日(金)

 12月のBGMは毎年ジョンレノンなのである。それでお客さんが増えるわけではないが、洋品店での12月は、ジョンレノンと決まっている。

 今日は石川の誕生日で、多くの石川ファンがプレゼントを持ってきたのだが、全部てんちょが検閲と称して没収したため、石川の手元には届かなかった。かわいそうに...


12月6日(水)

 石川がミニスカートをはいてきた。その素晴らしい脚線美に全てのお客さんが『ブラボー!!』と連呼し、店内は拍手喝采の渦であった。華々しい石川ミニスカデビューなのである。


12月2日(土)

 てんちょがしらす入りまぐろのしらすだけを取り出してご飯にのせて食べた。七味さんは大好きなしらすが無いことに腹を立て、『シャー』と叫んでちゃぶ台をひっくり返した。


12月1日(金)

 とうとう12月になってしまった。1年で最も淋しい季節なのである。街は空しいほど賑やかになり、みんな条件反射的にうかれてしまうのだ。デフレの不安もIT産業の空洞化も全て後回しなのである。店内では月末モードから解放されたてんちょと七味さんがミッキーのテーマで踊っていた。パンパパパンパパパラパパパン...、ぼくもよしこさんも思わず踊ってしまった。石川は遅刻したので、この楽しい一時を逃した。


11月30日(木)

 月末が来た。来月は月末、年末、世紀末とマツが3つ重なるので、それに比べれば今月はたいしたことはない。しかし、てんちょと七味さんはストーブの前でうずくまり、現実逃避を試みている。それは誰をも寄せつけない、ふたりだけの世界なのである。経済的な現実問題を意図的に無視する身勝手で反社会的で高尚な精神世界なのだそうだ。

 電気料金の集金のおばさんが来た。おばさんを前にてんちょは『下界は騒がしいのう。...盛者必衰、万物流転、ネコにこんばんは...』などとワケのわからないことを唸るように言った。おばさんは恐縮したように『あの、...またきます』とだけ小声で言い残し背中を丸めて帰って行った。...てんちょはついに月末をしのぐ新しい技を開発したのである。

 閉店時間になると、てんちょと七味さんは『さあメシだメシだ!』と、そそくさと2階へ上がってしまった。


11月26日(日)

 七味さんの顔のケガもようやく回復してきた。一時は顔だけガッツ石松になってしまうのではないかとさえ思われた。やはり2本の注射と毎日のクスリが効いたのだ。愛動物病院の松崎しげる似の先生と募金してくださった方々に感謝したい。


11月23日(木)

 『悲しい時は仕事に集中しろ!』ヤマの叔父さんは、しばしばぼくにそう言った。もちろん仕事に集中して悲しみを一時でも消すことができればそれに越したことは無い。しかし、胸が痛むほどの悲しみを抱え仕事に集中するというのはなかなか困難なのである。

 天津丼を電子レンジから取り出した時、あまりにも熱かったので床に落としてしまったのだ。自分に根性が無かったというのは確かだし、売れ残りを半額で買った弁当だけれど、..ぼくはただその落ちた天津丼を眺め、茫然としていた。

 夜、ひでじが天井裏のぼくに向かって『最近どうよ?』と話しかけてきた。『どうよって、...なにが?』『なにがって...、女関係とか...』『...ああ、いや、まあまあじゃん』『まーまー?...ふーん、まーまーか』『いや。まあまあだよ』『そうか、まーまーか。...ま、仕事に集中するんだな』『...ひでじ、それはどーいう意味だ?』

 ヤマの叔父さんはキコリをしている。


11月20日(月)

 今日は朝から冷たい雨で、七味さんが目の上を怪我していて元気がないので、一日中てんちょの機嫌が悪かった。お客さんが少なくて助かった。映画を作っている日芸のナカノがコートを買ってくれたので売り上げ¥0は免れた。よかった。


11月19日(日)

 石川が『がががががっtっぴぴー』と不思議な周波数の奇声をあげ、口から煙を吐いて倒れた。...『故障した』と誰もが思った。確かに最近の石川はおかしい。お客さんに向かって『おめえには似合わねえよ!』とてんちょの口を操り、言わしめたりしている。防犯カメラ3号はてんちょ不在時の石川の行動を克明にとらえていた。なんと石川はブリッジをしながら店内を駆けずり回り、高らかに大笑いしているのである。このため、やはり『石川の中に何かいる』ということになり、てんちょが意を決して石川の口の中に手を突っ込んだ。石川の中の何かを直接取り除こうというのである。...そして何かぶよぶよした物を取り出したのだが、それはただの胃袋だった。胃袋の中には箱に入ったままのチョコレートやお好み焼きセットと搾りきったマヨネーズのチューブ、赤いレザーサンダルなどが入っていた。...胃袋を元に戻し、てんちょは再度石川の中に手を突っ込んだ。...そして次に取り出した物は、...おそろしく衝撃的なモノであった。(来週につづく)


11月16日(木)

 てんちょが3台目の防犯カメラを導入した。回転式で"全てお見通し"機能がついた最新式なのである。夕方、女子高校生がかわいいミトンを手にしたその瞬間、新型防犯カメラのモニターが状況を正確に分析した「NAG学園2年C組 谷中みちよ 17才 万引き思案中...」と、警告音と共に文字が点滅したのである。すごい!さすがSONYだ。てんちょと七味さんは直ちに谷中みちよを取り押え、殴る蹴る噛む引っ掻くなどしてぼこぼこにした。新型防犯カメラ導入は初日から大成功であった。

 いつもかわいいチョロさんがイタリアから帰ってきた。ひさびさに見るチョロさんはすこし疲れているようにも見えたがやっぱりかわいくてドキドキしてしまった。そしてイタリアのお土産をいただいた。


11月14日(火)

 『人が信用できない時はきれいな水を飲みなさい!』と、親戚の中で一番綺麗な伯母さんがよく言っていた。『なぜ?』とぼくはきいてみた。『すっきりするよ』...答えはそれだけだった。きれいな水を飲めば人を信用できるようになるというわけでは無いようだ。ただ、気分をリセットできるということなのだ。...一度、半導体工場で使っている超純水を一口だけ飲んだことが有るが、まずい上にひどくお腹をこわし、よけいに人が信じられなくなった。きれいな水とは人工的な超純水のことではなかった。

 ひでじが天井裏のぼくに向かって『最近どうよ?』と話しかけてきた。『どうよって、...なにが?』『なにがって...、女関係とか...』『...ああ、いや、そこそこじゃん』『そこそこ?...ふーん、そこそこか』『まあね。そこそこだよ』『そうか、そこそこか。...ま、きれいな水でも飲めや』『...ひでじ、それはどーいう意味だ?』


11月11日(土)

 店が狭いのにいろいろ入荷してぐちゃぐちゃになってて、いいものはたくさんあるのにお客さんは全然来ないし、忙しいはずなのにてんちょと七味さんは『ひまだねえ』と言って売り物のセーターの毛糸をほどいて遊んでるし、...うーん、ぼくも旅がしたい。イタリアのちょろさんは元気かな。


11月9日(木)

 『帰りののぞみの車内。隣に座ったおやじは缶ビールを3本飲み、ゆでたまごを3個を喰い、さらに...』『さらに?』『そんなことはどーでもいい。ところで留守中はどーだった?何か変わったことは?』『はい、石川がよだれを垂らして寝てました』『それはいつものことだな』『ほかには?』『なにもありません』


11月5日(日)

 日記がなかなか更新されていないのは、てんちょの風邪とは無関係である。で、このごろのお客さん


11月03日(金)

 ようやくてんちょの熱が下がった。『一時は融点にまで達しようとしていた』そうだ。どーいうこと?


10月30日(月)

 てんちょの熱が70度になったそうである。そのため咳をする度に火を噴く。それでも今日は接客をしている。その結果何人かのお客さんが火傷を負ったり、髪の毛をチリチリに焦がされたりしている。見兼ねたお客さんのひとりがてんちょに水をかけた。ジューと水蒸気が上がり、てんちょは金属のようにコチコチに固まった。


10月29日(日)

 てんちょが風邪をひいた。熱が50度もあるそうだ。身体の一部を売ったりしているから、抵抗力が弱っていたのだろう。『う〜、デグチ君にうつされたんだ〜、罰金だ〜〜。』『おいっ、やまもと!茶わん蒸し盗んでこい!!』など、風邪をひいてもてんちょは強気だった。(BYぶちょ)


10月27日(土)

 夕方から冷たい雨が降り出した。店の前を誰も通らなくなった。七味さんが寝てばかりいる。いとっちとまゆちゃんが来た。いとっちは米を持って来なかった。まゆちゃんは値切ろうとした。


10月26日(木)

 『石川さん、今日入荷のスカートとコート出しといて』『おう!』『石川さん、買い物袋にステッカー貼っといて下さいよ!』『一番でかいのがねえんだよオ』『はっ、今持ってきます』『石川さん、ジャンボ更新しましたか?』『るっせえな、いまやってるだろお。...おめえ早くロッテリア行ってシャカシャカ振るポテト買ってこいよ!』...これらは今日の石川とてんちょの会話である。石川のてんちょに対する態度が急に変わった。あまりにも横柄なのである。原因はわからない。ただの反抗期とも思えない。決して石川本人を責めず『きっと何か別のワルモノが石川の中にいるにちがいない』と言うてんちょの意見に他のスタッフや一部のお客さんも同意した。そこで、石川の中を調べることになったのである。...そしてついにその正体をあばくことになったのである。それは、なんと.......(来週につづく)


10月24日(火)

 なぜなのだろう?このごろのお客さんはとてもやさしい。いつもかわいいちょろさんは今日もやっぱりかわいい。なんだか不思議だ。


10月23日(月)

 先週末はなおち先生がたくさん買い物をしてくれて、いきなり『お買い物成績表』のトップに躍り出た。遠くに住んでるのに来てくれて本当に感謝している。ありがとう。

 この頃入荷が続いている。入荷する度に傾きが大きくなるてんちょの身体が気になる。...そして今日ため息混じりに『とうとう***マを売ってしまったよ』と自ら語り出した。お笑い芸人が病気のために*ン**をひとつ摘出したことで勇気が出たそうだ。『実はオレには**タ*が三つある。しかし、三つ目のキ***は最高に気持ちが昂っている時にしか出てこない。そしてその三つめの*ン**を握って望みを乞う者はどんな望みも叶うのだ。...オレはその三つめの***マの不思議な力で不憫な女を何人も救った。』『あの、おっしゃる意味が良くわからないんですが...』『決してナンパの道具として使ったりしちゃいけないのだ。』『売ってしまったのは不思議な力の無いキ***なんですね?』『そうじゃ』(関連記事6/30の日記)

 この話題はもっと続けるべきなのだろうか。雨と寒さと客不足のせいで++++になってしまったようだ。(*文中の不適切な表現はネット管理者により削除しました)


10月19日(木)

 営業中、女の子のお客さんがぼくに話し掛けてきたのである。かなりかわいいのだ。『やまもとさん。...大変ですね』-仕事中なのでぼくは黙っていた。『いつもそういうポーズしてるんですよね。つらくないですか?』-そうでもないよ。『楽しいですか?』-まあね。『腰とか痛く無いですか?』-そりゃまあ、ときどき...。『労災とか保険とかちゃんと加入してますか?』-いや、それは.....。『給料とか公休とかちゃんと貰ってますか?』-う......。『こんな店より私たちと一緒に働きませんか?』『きさまっ!何者だ?!』-思わず声を出してしまった。そしたら彼女の声は男の低い声に変わり『やまもと!目を覚ませ!自分の才能を活かすのだ!』と自分の面をバリバリと剥ぎ取った。すると、おでこに[R]と刺繍された覆面が出てきたのである!あの夢と同じだ。(8月14日の日記参照)『何度言えばわかるのだ。てんちょを裏切るわけにはいかないのだ!』『...後悔するぞ!...ウチの店なら週に一度は休みが取れるし、労災も保険も有給休暇もある。条件はここより遥かに良いのだ。』『うるさい!2度と来るな!』『...そうか、...今日は帰ることにしよう。...しかし、また来る。やまもと、よく考えるんだぞ!』覆面Rはそう言い残し、膝丈スカートにGジャン、厚底サンダルのまま、走りにくそうに国道の方へ駆けていった。

 そんなこんなで、この頃のお客さん。


10月18日(水)

 馴染みのお客さんが柏で古着屋さんを始めるそうだ。柏は良い古着屋さんが多く激戦区だからやっていくのは大変だと思う。頑張って欲しい。

 石川セレクトのパーカーやレディスアイテムが調子良い。えらいぞ、石川!今日の紫色の泣きぼくろも良かったぞ!その調子でがんばれ。


10月15日(日)

 実験中であるにもかかわらず泣きぼくろを取ったため、石川の罰金が50万円を超えた。時給2円の石川が給料だけで罰金を払うとすると、毎日8時間働いても85年はかかる。104才まで働くことになる。頑張って長生きして欲しい。実験は改めて水曜日から行なうことになった。

 おとといから店内での恋愛が禁止になった。これは主に客同士の恋愛が対象になっている。恋愛が発生すると、何故か急に来なくなる客が多いからだ。そのためぼくたちスタッフは恋愛が発生しないよう目を光らせていなければならない。また仕事が増えたのである。

 今日はてんちょの身体が少し傾いていた。恐らく、仕入資金のために何か売ったのだろう。みんなそのことには気付いていたが、誰も口に出せなかった。


10月14日(土)

 きょうは書くべきことがたくさんあるはずなのに、何故だろう、頭がパンパンして何も考えられない。

 ということで、この頃のお客さん


10月13日(金)

 今日は泣きぼくろを右につけてみた。その影響なのか、コートやスタジャン、セーターなど冬物が良く売れたのである。夜、隣の焼き鳥屋から出てきた酔っ払いおやじが石川にセクハラをした。地元のコンクリート会社の社長らしいが、そんなことは関係無い。単なるエロおやじだ。石川はかなり怒っていた。てんちょも怒っていた。これも泣きぼくろ効果なのだろうか?

 仕入れ資金が無いために、てんちょは久々に『ふたつ有るからひとつは売ってもいいものリスト』を開いていた。(6月30日の日記参照)明日のてんちょは、身体の一部が何かに入れ代わっているのだろう。


10月12日(木)

 今回の実験のテーマは『販売員の泣きぼくろが売上に与える影響』なのである。もちろん被験者は石川恵子である。この実験の結果に因っては、全国のアパレル小売りの販売員は全て『泣きぼくろ』をつけるか、または『泣きぼくろ』の有る販売員は売り場を去るかを決定付ける、つまり、21世紀のファッション産業の明暗を分ける重要な実験なのである。実験は三日間行なわれ、専門家により統計分析がされる。結果次第では学会への発表もありえる。


10月10日(火)

 開店前の準備をしていたら、店の前で開店を待つ女の子たちの声が聞こえてきた。『...ここの店長って、年令不詳ってカンジじゃない?』『うん、そーだよね。あやしいよね。』『でもかっこいいよね』(しばし沈黙)『...ホモだってウワサだよ。』『えっ!まじ?』『どー見てもあやしいじゃん!』『でもさ、割とかっこいいよね』(長い沈黙)『...かわいい男の子のカラダさわるんだってさ』『うわ、キモーイ』『...でも、...』(極端に長い沈黙、...かと思ったら、女の子達は去っていた!...何しに来たんだ?)

 以上。


10月8日(土)

 ツッコミ担当の石川がゲップでつっこむようになった。

てんちょ『いいか、石川!お客さんへのおつりは必ずちょろまかすように。』

石川『げぐっ』

てんちょ『ゲップでつっこむな!』

 ボケ担当のてんちょが、反対につっこまなければならない。これをファッション業界では『ツッコミクロスカウンター』と呼ぶそうだ。石川のスタッフとしての成長がうかがえる。先輩としてこれほど嬉しいことはない。


10月6日(木)

 昨日の電気代はなんとかなった。昼間の売上げがあったので助かったのだ。しかし、ロウソクの明かりで営業している洋品店も見たかったのである。来月に期待したい。


10月4日(水)

 電気代が払えないのである。夏の冷房のつけが回ってきたのだ。明日また人の良さそうなおばさんが集金に来る。そして、電気が停まる。明日の夜からはロウソクと懐中電灯の明かりによる営業となるのだ。なかなか風情ある店頭になりそうだ。入り口にはタイマツを灯し、『五輪の聖火を入荷しました』などとしておけばみんな納得するだろう。...当然のことながらBGMはないので石川に『ちいさい秋みつけた』をエンドレスで唄ってもらうことになっている。また、ホームページの更新は今日で最後となるのだ。みなさん、さようなら。


10月2日(月)

 石川が変わったメイクをしていた。お客さんに笑っていただくために、これからは毎日変なメイクをするそうだ。石川のメイク見たさに買い物客が増えることが期待される。頑張れ、石川!

 いそやんとマリ子が来た。


10月1日(日)

 10月になった。ひとり、感傷を味わう季節なのである。

 ひさびさにアロエさんが来た。半年振りに実家に帰ったのだそうだ。相変わらずかわいいのでドキドキしてしまった。 


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